赤提灯で飲んでいるサラリーマン達、いや、赤提灯で飲んでいる仕事帰りの人々。
俺は、その人達の、後ろ姿や、そのお酒の飲み方に、赤信号を待ってみる気になったんだ。
俺は、次の目的地にいかなければならなかった。ちょうど反対側の車線に、俺を乗せようとする、いや俺が乗ろうとするタクシーが遠くの方から走ってくるのが見えた。
だから俺は、今までの感情を振り切って、向こう側へ走り出したんだ。
大型のトラックは、もうそこまできていた。でもまだぶつかる距離じゃない。
だから俺は走り出した。
その瞬間に、俺の目に移ったのは、24時間明かりがつけっぱなしになっている、自動販売機のその輝きだった。
俺は、ポケットの小銭を「確かめながら、その小銭と、自動販売機の中に入っている、100円とジュースとの関係を考えながら、俺は走り出したんだ。
だから、こうすればいい、だから、こうした方がもっと楽になる。
横断歩道を渡るとき、まだ信号は赤だった。
俺は、一生懸命その気持ちひとつひとつをすり抜けながら、それでもまだ、ポケットの小銭をじゃらじゃらさせながら、ようやく、向こう岸にたどりついたんだ。
そしてぼくは、タクシーに乗り込んだ。
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