2010年10月17日日曜日

日溜まりの詩

寒い季節がやってくる。

始めて君と会ったのも寒い季節だった。

毛布にくるまりながら色々な話をしているうちに君はすやすやと眠りについた。
僕も君の寝顔を見ているうちに静かに眠りに落ちていった。

君は街が透明に見える冬が好きだと言った。
僕は小さな夢とか恋とかいつまでも手のひらで溶けていく
雪のような事ばかり語っていた。

テレビの中では何時でも誰かが泣いていた。
遠い街は戦争が始まった。悲惨な事件も度々おきた。
小さな子供の命が奪われていく。そんな事も当たり前のようにおきた。
交差点では人々の傘がぶつかりあっていた。

先のことはとても不安だけどこうしていると暖かいんだ。

よく僕らは休みの日にバイクで海まで出かけた。
防波堤に打ち寄せる波や、遠くから聞こえる汽笛の音や、愛を語らう恋人達。
砂浜に腰をおろして海を眺め見ていると僕は暖かな気持ちになった。
幸せってなんだろう?僕たちは幸せなんだろうか?
水面に映る太陽を見つめながらふっとそんなことを考えた。

世界中の人たちの心が僕らのポケットのように暖かくなれば良いのに。
そういうと君は日溜まりのように笑った。そしていつものように3回キスをしてくれた。

寒い季節はこれからやってくる。

僕は相変わらず君と過ごしたあの海を待ち遠しく想いながら。

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